安易な海外「円安出稼ぎ」は禁物だけど、今こそ世界に打って出るべきあの職業
(花園 祐:中国・上海在住ジャーナリスト) 今年(2022年)に入ってから円安の勢いが止まりません。一時は1ドル当たり150円を突破し、日本国内では食糧やエネルギーをはじめ各所で値上げラッシュが続いています。 一方、筆者を含む海外で暮らす駐在員にとっては、今回の円安は大きな追い風となっています。新型コロナウイルス感染症の流行に伴う渡航規制により、日本への渡航はままならないものの、日本の家族へ送金している駐在員など多くの人が円安の恩恵を受けています。 こうした状況からか、日本国内では海外勤務の給与面でのメリットを強調し、海外への「出稼ぎ」を推奨する声も聞かれるようになってきました。 ただ、海外勤務においては、円安による追い風もあれば逆風ももちろん存在します。そこで今回は筆者の実体験とともに、為替に翻弄される海外駐在員の所得事情について紹介したいと思います。
■ 毎日チェックしてしまう預金額 前述の通り、為替市場では現在円安が極度に進行しています。そのため筆者のように外貨で給与を得ている海外駐在員からすれば、給与額は日本円に換算した場合、これまで以上に大きな金額になっています。 具体的には、これまで人民元1元のレートは日本円で18円台の期間が長く続いていましたが、現在は20円台以上をキープしています。そのため人民元建ての給与額はそのままでも、日本円に換算するとこの1年ほどの間に約10%アップしたこととなります。 中国で生活していると普段の支払いは人民元ですから、消費能力が実質的に高まったわけではありません。けれども給与額が日本円換算で増えていると、やはり嬉しく感じます。そのせいか気持ちも大きくなり、筆者はこのところ無駄遣いが増えてきています。 日本円換算の給与額もさることながら、それ以上に見ていて楽しいのは預金額の方です。 筆者は預金の大半を人民元建てで中国の銀行口座に預けています。その預金額も、日本円に換算するとこの1年ほどで大きく増えました。最近は毎日、為替を自動計算するウェブサイトにアクセスして、自分の人民元建て預金額を日本円に換算し、「今日もこんなに増えたのか」と、さながらFXのデイトレーダーのように眺めることが習慣化しています。