岸田首相「できる限り早く発議」 参院選大勝、憲法改正に意欲
第26回参院選は11日午後、開票作業が終了し、憲法改正に前向きな自民、公明、日本維新の会、国民民主の「改憲4党」は93議席を獲得した。非改選議席と合わせ177議席となり、改憲の発議に必要な参院定数の3分の2(166)以上を維持した。岸田文雄首相(自民党総裁)は同日、党本部で記者会見し「できる限り早く発議に至る取り組みを進めていく」と述べ、改憲に意欲を示した。
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自民は単独で改選過半数の63議席を得て大勝。公明の13議席と合わせ、与党で76議席を獲得した。与党は非改選議席を含め146議席と参院の過半数を維持した。首相は選挙結果について「日本を守り、未来を切り開くために全力で仕事を進めよと、国民から叱咤(しった)激励をいただいた」と述べた。
改憲に関しては、9条への自衛隊明記など自民が掲げる改憲4項目に言及し「いずれも現代的な課題であり、党是の実現に向け、国会での議論をリードしたい」と表明した。「秋に予定される臨時国会では、今回の選挙で示された民意を受けて、与野党全体で一層活発な議論が行われることを強く期待する」と述べた。
防衛力強化に関し、相手国のミサイル発射拠点などをたたく「反撃能力」(敵基地攻撃能力)に言及し「あらゆる選択肢を排除せずに現実的に検討する」と述べた。「我が国自身の防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と強調した。
経済政策に関しては、首相が本部長を務める「物価・賃金・生活総合対策本部」を週内に開催するとし「物価高にも政府が責任を持って万全の対応をする」と表明。自身が掲げる「新しい資本主義」について「民間が賃金を引き上げやすい雰囲気を作る」と述べた。
新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵攻などを挙げ「戦後最大級の難局にある。有事の政権運営が求められる」と説明。「聞く力を発揮して、与野党を問わず、さまざまな意見を踏まえ、大胆で機動的な政策を立案する」と述べた。
内閣改造・党役員人事については「今の時点ではまだ具体的なものは何も決めていない」としつつ「厳しいさまざまな課題を前に党の結束を大事にしたい」と語った。【高本耕太】