市場対日銀の攻防が激化か。日銀はレートチェックで為替介入を示唆、20年国債入札結果は低調

2022年09月15日

13日に発表された8月の米国の消費者物価指数は前年同月比8.3%上昇となり、7月から減速したが予想を上回った。エネルギーと食品を除くコア指数の上昇率は6.3%と7月から加速、こちらも予想も上回った。

 これを受けて市場ではFRBが利上げを加速するとの見方が強まった。9月20日~21日に開催されるFOMCでは0.75%ではなく1.00%の利上げもあるのではとの見方も出てきた。

 この日の米10年債利回りは一時3.46%に上昇し、ダウ平均は1276ドル安となり、今年最大の下げ幅となった。

 外為市場ではドルが買われ、ドル円は14日の東京時間の朝方に145円に接近した。

 再び条件が整ってきたことで、市場と日銀の攻防戦が再開するとみている。前回の攻防戦では米長期金利が3.5%でいったんピークアウトし、ドル円は140円近辺で反落していたことで、日銀側が勝利したかにみえた。

 今回はドル円とはすでに140円を突破し、米長期金利は3.5%に接近している。このままドル円の上昇と米長期金利の上昇が続くとなれば、6月とは状況が異なってくる。

 6月には日銀は債券先物のチーペストの指し値オペという禁じ手まで使ってきた。それによって日本の債券市場の機能まで失われかねない状況に陥った。果たして今回の攻防戦はどうなるのか。日銀が再び力業で封じ込むのか。

 ドル円は14日の東京時間の朝方に145円に接近したことを受け、鈴木財務相は為替介入の可能性を示唆。さらに日銀は為替介入の前兆ともされるレートチェックを入れてきたようである。

 米国のイエレン財務長官が協調介入に応じた気配はいまのところない。日銀の単独介入を了承したような気配もない。米国の了承なしに政府・日銀は単独介入を行ってくるのか。  

 仮に単独介入を行ったとしても、円安の最大の原因が、日銀の意地源、いや異次元緩和の継続、金融政策の柔軟性や機動性の欠如にあることで、それが解消されない限り、円売りドル買いの仕掛は続くことが予想される。市場対日銀の攻防戦はさらに激化してくる可能性がある。

 日銀はこれ以上無理を重ねると本当に日本の債券市場の機能をなくしてしまいかねない。それは戦いを挑んだヘッジファンドが良くないとみる人もいるかもしれない。しかし、現在の日銀の金融政策の頑なな一方通行緩和路線が生んだ歪みにヘッジファンドが乗じただけてある。日銀は修正すべきものを修正しなければ、この歪みは大きくなるばかりとなる。

 15日の20年国債の入札は、最低落札価格が99円25銭、平均落札価格100円09銭。最低落札価格の事前予想は100円50~55銭あたりだったので、予想を大きく下回り、テール(平均と最低の価格差)は84銭と、手元のデータによれば1987年12月の1円2銭以来となり、かなり悪い結果となった。こちらもある意味、日銀の現在の政策に限界があることを示しているかにみえる。

久保田博幸金融アナリスト

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