政府指定の経済安保「特定重要物資」はジワジワと強くなります! 長期的に注目 米国で景気後退懸念も日本には好材料あり
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米国労働省が発表した9月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比8・2%上昇しました。変動の激しい食品などを除いた「コア指数」も前年同月比6・6%上昇。伸び率は2カ月連続で拡大しました。連邦準備制度理事会(FRB)はインフレの先行きを占う指標としてコアを重視しているので、大幅利上げは続くことになるでしょう。
先週は国際通貨基金(IMF)が「最悪な状況はこれから」、世界銀行総裁が「世界的リセッション(景気後退)のリスクが高まっている」、米国の金融大手JPモルガン・チェースのCEOが「米国と世界の経済は来年半ばまでにリセッションに傾く可能性」など先行き不安なコメントが続きました。
しかし、米国に関しては、リセッションが入っても谷は深くないと思われます。というのも、過去の金融危機の教訓から、銀行にはかなりの財務規律が整えられていて、金融危機が起きない限り、景気後退からの立ち上がりは早いはずです。
一方、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁はG20財務相・中央銀行総裁会議後の会見で、「いま金利を引き上げる必要はない」と強調、一段と円安が加速しました。この円安進行、ジワジワとほふく前進的なんですね。こういうときは為替介入がしにくいんです。
それでも、日本は全国旅行支援も始まり、円安の恩恵もあるので、ほかの国に比べて状況は良いと思っていいのでは。
ということで、今回のポイントは「特定重要物資」。政府は経済安全保障推進法に基づく特定重要物資の対象11分野を自民党の経済安保推進本部に示しました。特定重要物資のサプライチェーン強化は5月成立の経済安保法の柱の1つ。企業が指定物資の安定供給計画を作り、所管省庁の認定を受ければ、補助金や低利融資などの支援を受けられます。
絞り込んだ11分野は、経産省所管の半導体やクラウド、蓄電池、液化天然ガス、国交省の船舶関連機器、厚労省の抗菌薬、農水省の肥料原料などです。半導体は値動きが激しいのですが、ポイントは蓄電器や肥料ですね。
政府が指定した分野はそれこそジワジワ強くなります。長期的に注目です。
■おまけの一言 「今週はゴールドマン・サックス、テスラ、プロクター&ギャンブルなど米国有力企業の決算が本格化し、下方修正含みの声に揺れました。そんな中でも、見通しの明るい話に注目を」
【財ザク!】「貯蓄から投資へ」と提言する政府。その投資で少しでも財産アップを達成するために「うまちゃん」が有益な情報をザクザクとお届けします。
■馬渕磨理子(まぶち・まりこ) 経済アナリスト。日本金融経済研究所代表理事。愛称・うまちゃん。1984年4月27日生まれ。38歳。滋賀県出身。同志社大学法学部卒、京都大学公共政策大学院修士課程修了。大学時代はミス同志社。『LiveNewsα』(フジテレビ系)など出演番組多数。ユーチューブ『馬渕磨理子の株式チャンネル』も人気。新刊『収入10倍アップ 高速勉強法』(PHP)=写真=がいきなりベストセラー。