日本は先進国ではなく“中進国”と化した…もう一度元気を取り戻すための秘策(三枝成彰)

2022年09月03日

経済学者の島田晴雄さんが凋落した日本経済の現状を「週刊新潮」に書いておられ、大いに共感するところがあった。島田さんによれば、日本はすでに先進国ではなく「中進国」に転落しているという。 大場久美子さんが「子ども食堂」でボランティア 61歳で他界した母親の教えがきっかけに  なにしろ1990年に406万円(OECDのデータ、以下同)だった平均年収は30年後の今も424万円であり、微増したに過ぎない。お隣の韓国は日本の6割だった240万円が現在462万円だから見事に追い抜かれた。日本人の賃金は先進国中、最低レベルだ。  日本経済の絶頂は80年代半ばでGDPは世界の15%。アメリカと合わせ世界の4割を占め、89年には世界の19%になった。それが現在は世界19位である。  凋落の原因はひとつではない。まずは85年の「プラザ合意」で、急激な円高にブレーキをかけるため政府は財政出動で金利を引き下げた。これで余剰資金が生まれた企業は不動産に投資。そしてバブルが生まれ、一瞬ではじけた。  翌86年の「半導体協定」で、輸出品の目玉だった半導体の国際競争力をそがれたのも響いた。その後、少子高齢化で就労人口が減り景気は低迷、かつての輸出大国が輸入大国となり、回復の道を探しあぐねたまま現在に至る。  この最低の状況から日本が逆転を果たすにはどうすればいいのか。 ■「文化立国」こそが日本の生き残る道  確かに日本には資源がなく国土も狭いし、他の先進国に比べて体力もない。だが、他にはない発想と知恵ならある、と思いたい。  私は20年以上前、「ハリウッド計画」を考えた。官民学が一体となり、日本にハリウッドをしのぐほどの映像産業の一大拠点をつくってはどうかというアイデアだ。  農業や工業をこれ以上広げるのは無理だが、サービス産業ならば可能である。国が後押しをして映画など上質なエンターテインメントをつくり、日本から世界に発信する──つまり「文化立国」こそが日本の生き残る道であり、国の安全保障につながるという構想だった。  これを一時、政治家や経済人に話して実現を促したが、産業の根幹を変えるほどの動きには結びつかなかった。  その後、時代はインターネット全盛となり、アップルやグーグル、フェイスブック、アマゾンにユーチューブ(現在はグーグル傘下)、ネットフリックスなど「サービス」を売る企業が台頭してきている。  ある意味、私の予想は当たった。韓国も98年の金大中政権下で産業として文化を保護し、150億円の予算で映画振興委員会をつくるなど、文化立国を実現した。「日本が20年前にそちらにシフトしていたら」と遺憾に思う気持ちもある。  今からでも遅くはない。手をこまねいていては沈んでいくだけだが、頭の固いどこかの政府のお歴々が、思い切って舵を切れるか。若い世代に期待するしかない。  少し前の「ニューズウィーク」(8月9.16日号)の特集は「世界が称賛する日本の暮らし」だった。子どもが自由に街を歩ける安全性、世界一の保険診療、物価の安さ、日本が誇る美点は多いのだ。  まずは無駄な祝日をなくし、休み過ぎを解消しよう。年の3分の1に及ぶ休日を減らし、働くことだ。むろん勤務時間の増加は給与水準の引き上げと両輪だ。 (三枝成彰/作曲家)

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