日本人は今の貿易赤字がいかに深刻かを知らない、競争力低下で経常収支が恒常的に赤字となる危険

2022年11月13日

貿易赤字の拡大の原因は、資源価格高騰や円安だけでない。日本企業の競争力が低下していることも大きな原因だ。この状態が続くと、経常収支が恒常的に赤字となる危険がある。 昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第81回。 【グラフ・図表】貿易収支の実態は? ■構造要因による赤字拡大分は?   2022年4~9月の貿易収支は、約11兆円の赤字となり、年度半期ベースで過去最大となった。下期もこのペースが続けば、年間貿易赤字は20兆円を超える。

 これは、短期的な変化にすぎないのか?  それとも長期的に継続するものなのか?  それを判断するには、貿易収支がなぜ悪化したのかを分析する必要がある。  貿易赤字を拡大させたのは、次の3つの要因だ。  1.資源価格の高騰  2.円安(円安は輸入と輸出を同率だけ増加させるが、貿易収支が赤字だと、輸入の増加額のほうが大きくなるので、円安が赤字を拡大する)  3.日本経済の構造変化  1、2はよく指摘される。以下では、3が重要な意味を持っていることを指摘したい。

 1、2は、いずれ収まる可能性があるが、3が大きな原因であるとすると、赤字は今後も継続する可能性がある。  3の影響を知るには、1、2の影響を取り除く必要がある。そのために、ここでは、次の方法を用いる。  2の影響を除去するため、輸出、輸入、貿易収支をドル建てで見る。  そして、1の影響を除去するため、鉱物性燃料を除いた収支を考える(穀物価格の高騰も赤字拡大要因だが、額が少ないので、ここでは別途扱いをしない)。

 2004年と2021年とを比べると、図表1、2に示すように、貿易収支は、2004年の1104億ドルの黒字から、2021年の148億ドルの赤字へと1252億ドル悪化した。  (注:これは、貿易統計ベースの数字だ。国際収支統計では、2021年の貿易収支は黒字になっている)  (外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)  ここには、原油価格上昇の影響がある(鉱物性燃料の赤字は 962億ドルから1457億ドルへと、496億ドル増加)。

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