日本国債の売買が成立しない…日銀の「現状維持」路線が、日本経済の将来に与えている「とんでもない影響」

2023年01月21日

国債市場に「異変」

〔PHOTO〕Gettyimages

 1月17日、18日、日本銀行は"金融政策決定会合"を開催した。  結果は現状維持だった。 【写真】125万人が忘れている「申請しないともらえない年金」をご存知ですか  声明文中の"長短金利操作の運用"に関する箇所では、『大規模な国債買入を継続するとともに』の文言が新たに記された。  また、日銀は"共通担保資金供給オペレーション"の拡充なども行い、金融調節のさらなる円滑化にも取り組む姿勢を示した。  今回の会合の直前には、異次元緩和の一部修正が発表されるとの観測が高まった。  特に、YCC(イールドカーブ・コントロール)による、10年国債の金利上限の引き上げを予想する向きが多かった。  そうした観測の背景として、国内債券市場の流動性枯渇は深刻なことがある。  実際に、国債市場では取引がほとんど成立しない状況だ。  財務省は、国債市場の流動性枯渇を懸念しているとみられる。  日本国債への投資縮小、取りやめの可能性に言及する投資家もいる。  "経済・物価情勢の展望(展望レポート)"で示された通り、当面、わが国の物価は上昇しそうだ。  今後、日銀は異次元緩和の"総括的な検証"を行い、YCC政策などの効果、副作用などを公表するとみられる。  そうした措置に基づいて、今後、日銀は新しい金融政策の枠組みに移行すると考えられる。  今すぐではないにせよ、いずれ、わが国の金利は上昇しやすくなるだろう。

日銀を取り巻く金融と経済の現状

 足元の国債市場で、取引がほとんど成立しない状況は深刻だ。  12月の決定会合では、流動性回復のため、10年物国債の金利の上限が0.25%程度から0.50%程度に拡大された。  それと同時に、日銀による国債買入額も大幅に増えた。  ただ、その後、10年物国債の流通利回りは、日銀が設定した上限の0.50%に張り付いた。  それでは、市場機能が回復しているとはいい難い。  金融政策の追加修正を見込む外国人投資家の売り仕掛けで、10年物国債利回りは上限である0.50%を上回る場面もあった。  日銀による国債買入の増加によって、自由な国債の売買はさらに難しくなったといえる。  その状況が続くと、グローバルな債券のインデックスから日本国債が除外される可能性は高まる。  つまり、日本国債は世界の債券市場から殆ど除外されることになってしまう。  それは、国債を発行する側=財務省にとっても重大なピンチだ。  それだけ、日銀のYCCは市場のダイナミズムを押さえつけているといえる。  現在のわが国の実体経済を見ると、今後も物価の上昇は続くだろう。  企業にとってコストに相当する企業物価指数は、依然として二けた上昇を続けている。  国内の企業は収益を守るため、コスト上昇分を価格に転嫁させるはずだ。  当面、消費者物価上昇は続くとみられる。  また、国内外の新型コロナウイルス感染再拡大や、中国経済の回復期待を背景とする、エネルギーや鉱物などの商品市況の上昇も軽視できない要素だ。  日銀は、2022年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)の上昇率を2022年10月時点の2.9%から3.0%に引き上げた(政策委員見通しの中央値)。  上昇の多くの部分は、原材料などの上昇=コストプッシュに影響されている。  黒田体制下の日銀は、賃金上昇と物価上昇の連関が成り立っていないとの見方をしたようだ。  そのため、金融政策の現状維持を決定した。  日銀は共通担保オペを拡充しYCC政策を行い、緩和的な金融政策を継続する。

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