日本経済は麻酔が切れたまま手術するような状態へ!今まで超金融緩和策に守られてきた日本経済危うし!?個人ができる対策とは?

2022年12月30日

 黒田さんは金利変動幅を拡大しました。  黒田さんというのは、みなさんご存じ、2期10年に渡って日銀総裁を務めてきた黒田東彦氏のことです。 ●黒田日銀総裁が金利変動幅を拡大した裏の理由とは?   黒田さんが金利変動幅を拡大した理由は...  「ロシアのウクライナ侵攻以降、資源価格の高騰や各国の金融政策の転換などさまざまな要因からボラティリティが高まっていた。一時的に収まったように見えたが、最近、また高まってきた。イールドカーブがゆがみ、企業金融などにマイナスの影響を与える恐れがあるので、市場機能の改善を図った」  というものでした。  これは表向きに言える公式な理由です。  その裏の理由は円安。つまり、インフレです。  日本の11月のコアCPI(消費者物価指数)は前年同月比で3.7%上昇しました。実に1981年12月以来という極めて高い水準です。  日銀はマイナス金利政策で短期金利を抑え込み、さらにYCC(イールドカーブコントロール)によって長期金利(10年物国債利回り)も抑え込んできました。その状況で、インフレが加速していることになります。  実質金利は名目金利からインフレ率を引いたものになりますが、このような状況だと、実質金利はマイナス圏でさらに落ち込んでいっていることになります。  そして、日銀は日本国債全体の50%を保有しています。次に保有量が多いのは生保、その次は銀行です。 ●国債が売られ、通貨が売られ、株も売られたイギリスの例が日本の参考に...  今後の日本の金融市場を考えるうえで、参考になる国があります。イギリスです。イギリスで起こったことを振り返ってみましょう。  イギリスの中央銀行、イングランド銀行は2021年末にイギリス国債全体の50%を保有していました。その後は徐々に減らそうとしています。  リズ・トラス前政権は景気対策のため、財政出動をして、財政収支がマイナスになる政策を打ち出しました。これを見た市場で、国債は売られ、金利は上昇し、英ポンド安、英国株安が起こりました。  この市場の動揺は、イングランド銀行が緊急措置として国債を買うことで落ち着きました。そして、首相は代わりました。 ●日本経済は麻酔が切れたまま手術するような状態へ向かっている!!   イギリスで起こったことの教訓は、日本政府は国債をいつまでも大量に発行し、それを日銀に買ってもらって、財政出動できるわけではないということです。  前述したとおり、日銀はすでに50%の日本国債を保有していて、それを増やすことの限界が近づいていると思います。  日銀は国債だけでなく、ETF(上場投資信託)購入を通じて、実質的に株式もかなりの量、保有しています。日本株式市場の6.7%ぐらい保有していることになります。平常の状態とは言えません。  本来は日銀が金融緩和をしている間に、政府が構造改革するのが良かったのです。これは病人が手術台に乗っている間に、麻酔を打つのと同じです。麻酔は金融緩和で、手術は構造改革です。しかし、日本は麻酔だけして、手術はしていない状況です。  そして、その麻酔はもうすぐ切れそうです。市場はそれを受けて動き始めました。 ●金利上昇期待で上がっている日本の銀行株。さらにこのまま上がるのか?   金利上昇の期待を受けて、銀行株は大きく上昇しました。  銀行株は上昇する前、大手銀行株でPERが1ケタ台、配当利回りが4~5%台だったので、もしも良い金利上昇だったらこの銀行株上昇は妥当なものと言えますが、不景気になって、与信コストが上がれば(破綻が増えれば)、銀行株は下がると思います。  たとえば、アメリカの地銀株は金利が上昇しているにも関わらず、下落していました。大手銀行株も同じトレンドです。  金融の変化が起きる時は、だいたい急に起こります。上がる時はじわじわ、下がる時はショックということが多いです。  金利の急上昇、円安、ハイパーインフレ、倒産の増加、大増税はすべてが同時には起こらないと思いますが、このようなもののうち、いくつかの悪い出来事がこれから起こってくる可能性は大きいと思います。 ●日銀の超金融緩和策に守られてきた日本経済に変化が出る可能性大!  世界株への分散投資が急務!   今後の展開を正確に予想することは難しいです。しかし、思ったより早く金融・経済に変化が出る可能性は大きいと思います。特に日本はここ10年、日銀の超金融緩和策に相当守られてきました。  なので、分散投資することが急務だと思います。その時は視野をグローバルに拡げ、世界の株式に投資するのが良いでしょう。  あるいは、どうしても国内の株式を買いたいということであれば、バランスシートが健全で、何か競合にはない強みを持っており、国内市場を相手にしているだけでなく、海外市場にも積極的に輸出するなどしている企業の株式を買うべきだと思います。  ●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

ポール・サイ

© 2009 Dr. straightのヘルスケア&リラクゼーションのブログ。 by https://www.stosakaclinic.com/
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