日本経済を「大復活」させる意外な処方箋…アメリカの元財務長官が提案した「驚きの方法」をご存知ですか?
「低所得・低物価・低金利・低成長」の「4低」が「ふつう」になった日本。かつての経済大国「高い日本」がなぜこんな「安い日本」になってしまったのか。 【写真】日本の"購買力"は「57ヵ国中33位」、「4低」日本の過酷な現実 気鋭のエコノミスト永濱利廣氏は著書『日本病――なぜ給料と物価は安いままなのか』で、この「4低」状況を「日本病」と名付け、その原因と、脱却するための道筋を考察する。 日本が脱却できない「流動性の罠」とは? 元米国財務長官サマーズ氏が日本に出した処方箋とは? 永濱氏が『日本病――なぜ給料と物価は安いままなのか』でわかりやすく説明する。
不安のあまりお金を貯め込みすぎる日本人
金融政策の基本は、金利をコントロールすることです。そして、金利をコントロールする際に基準になるのが「中立金利」(注:経済に対して引き締めでも緩和でもない中立的な金利水準)です。 では、何が中立金利を決めるかと言えば、お金の需給です。お金を使いたい人が多ければ中立金利は上がるし、貯蓄をする人が増えてお金が余ってくれば中立金利は下がります。 そして、この中立金利の水準より、実際の金利を下げるのが「金融緩和」、逆に実際の金利を上げるのが「金融引き締め」です。そうやって中立金利から実際の金利を動かすことで、経済活動を適切な方向へ誘導することが、中央銀行の金融政策の基本です。 しかし、海外の研究などを見ると、日本の現在の中立金利水準は大幅マイナスになっているとされています。なぜなら、日本の企業も家計も、将来のためにお金を貯め込みすぎているからです。 国内の経済主体は基本的に「家計」「企業」「政府」しかありません。このうち日本では家計と企業がお金を貯めすぎてお金が余っています。政府はお金が足りないのですが、三つの主体を合わせると、国内全体では異常にお金が余っており、よって中立金利は大幅マイナスとなります。 しかし、景気を上げるために金融緩和=金利を下げたいとはいえ、やみくもに金利を下げればよいのかと言えばそんなことはありません。すでに大幅マイナスの中立金利よりもさらに実際の金利を下げるとなると、今度は金融機関や年金運用への副作用が懸念されるレベルになりかねません。 逆に、利子収入を増やすために「金利を上げろ」との声もありますが、マクロ経済学の立場から見れば、中立金利がマイナスである以上、ここで無理に金利を引き上げてしまったら金融引き締めになり、さらに景気が悪化してしまうことになります。