日銀、コロナ支援策終了検討 大規模緩和は維持方針
日本銀行が新型コロナウイルス禍で収入が減った中小企業向けの資金繰り支援策について、予定通り9月末での終了を検討していることが19日、分かった。経済活動が再開し、資金繰りの問題が解消してきたため。21、22日の金融政策決定会合で決める。コロナ禍からの回復途上にある景気の下支えのため、大規模金融緩和は維持する方向だ。
終了するのはコロナ禍で資金繰りが悪化した中小企業などに無利子・無担保などで融資する金融機関に対し、有利な条件で資金を供給する制度。8月末の貸出残高がピーク時の4割弱まで減り、一定の役割を果たしたと判断した。
今月末で中小企業向けの実質無利子・無担保融資を終了すると決めた政府に歩調を合わせる。
日本時間の22日は米連邦準備制度理事会(FRB)など、米欧の3主要中央銀行も同様の会合を開く。いずれも大幅利上げが見込まれ、超低金利政策を続ける日銀のスタンスが鮮明となりそうだ。ドルなど高金利通貨の魅力が高まり、円に強い売り圧力がかかりやすくなる。
足元の円相場は約24年ぶりの安値水準を行き来し、「悪い物価上昇」という副作用が目立つ。政府・日銀は為替介入も辞さない構えをみせ市場を牽制(けんせい)する。
市場も警戒レベルを上げてはいるが、「実弾は撃てない」との見方が根強い。インフレ抑制のため高金利政策を取る米国からドル売り・円買い介入の同意を得るのは難しく、日本の単独介入も効果がないとみられているからだ。
市場の一部には、日銀に対し、長期金利の変動幅拡大など政策の柔軟化を求める声がある。しかし、大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは「政府が日銀に政策修正を期待している節はない」と述べ、黒田東彦(はるひこ)総裁が急激な為替変動に対し、いつもより強いトーンで牽制して終わると予想する。
コロナの水際対策緩和で訪日客が復活すれば、円安のメリットを享受できる。また、価格転嫁できずに経営が苦しい中小企業も多いことから、岩下氏は「日銀の緩和継続は正当化されやすい」とも指摘する。