日銀「共通担保オペ」初実施…“禁じ手”同然「絶対に儲かる投資話」で黒田総裁のメンツ死守
「絶対に儲かる投資話」は存在する──。18日の日銀金融政策決定会合で拡充が決定された「共通担保オペ」。23日、初めて5年債で実施された。
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「共通担保オペ」と聞いてもチンプンカンプンだが、何を意味するのか──。日銀は10年国債の利回りを0.5%以下に抑えるYCC(イールドカーブ・コントロール)を続けている。18日の政策決定会合前には10年国債の利回りが0.5%の上限を超え、金利を抑え込むために、日銀は連日、国債を爆買いする事態に追い込まれた。そこで登場したのが「共通担保オペ」の拡充だった。日銀だけでなく、金融機関に幅広く国債を買ってもらい、金利をコントロールする方法だ。
23日に初めて行われた5年債のオペは、予定額1兆円に対し3.1兆円の応札があり、1.3兆円を落札。応札倍率は3.13倍と大人気だった。日銀の狙い通り大量の国債が買われたのだ。
しかし、この「共通担保オペ」は"禁じ手"同然である。
「"絶対に儲かる投資話"をチラつかせて、金融機関に国債購入を促すものです。担保を差し出した金融機関に対し、日銀が国債の利回りより低い金利で貸し出します。そのお金で金融機関が国債を買えば、自動的に利ザヤが儲かるという仕組みです。金融機関はノーリスクでリターンを得られ、喜んで国債を買うわけです」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)
「絶対に儲かる話」は、マユツバがほとんどだが、日銀が持ちかける話だけにホントに儲かるというわけだ。
■日銀の国債購入は限界間近
「リスクを負いながら投資を行い、失敗したり成功するのがビジネスです。"濡れ手で粟"のような形で金融機関に儲けさせる共通担保オペは"禁じ手"と言ってもいい。すべては、緩和維持を固持する黒田総裁のメンツを保つためです。日銀の国債購入は限界に近づいているので、金融機関に肩代わりさせようということです」(森岡英樹氏)
債券市場は混乱が続いている。10年国債の利回りが8、9年債より下回る逆転現象が生じ、社債や地方債発行に支障を来している。
黒田総裁はゆがんだ金融政策をいつまで続けるつもりなのか。