日銀の金融緩和修正で進む「将来の政策転換織り込み」 市場は敏感に反応

2022年12月26日


日本経済団体連合会の第11回審議会で講演する日本銀行の黒田東彦総裁=26日午後、東京都千代田区(関勝行撮影)

日本銀行による長期金利の変動上限引き上げから27日で1週間になる。年末に唐突に訪れた大規模な金融緩和の修正は「事実上の利上げ」として、市場にサプライズをもたらした。黒田東彦(はるひこ)総裁は26日、東京都内で講演し「金融緩和を持続的かつ円滑に進めていくための対応だ」と強調したが、政策修正に市場は敏感に反応している。 ■「出口」戦略と関連付けて解釈 週明け26日の債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の終値利回りは前週末より0・065%高い0・440%。21日には0・480%をつけるなど上昇傾向が続く。 一方、26日の外国為替市場の円相場は1ドル=132円台後半をつけた。前週末よりは円安方向に振れたものの、行き過ぎた円安進行にはいったん歯止めがかかった形だ。 日銀は20日の金融政策決定会合で、長期金利の変動上限を0・25%から0・5%に引き上げた。10年物国債の利回りだけが低くなるなど市場がゆがみ、社債の発行が一部厳しくなるなど副作用の懸念が強まったためだ。今回の政策修正について、黒田総裁は市場機能の改善が目的で「利上げではない」と説明する。 だが、市場では大規模緩和からの「出口」戦略と関連付けた解釈が少なくない。日銀は来春に総裁が交代し、新体制に移行するからだ。政府には2%の物価上昇目標を定めた日銀との共同声明の見直し論もくすぶる。 SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは「日銀は長短金利操作の解消に向けたステップを踏んだ。将来の政策転換を織り込む動きにつながる」との見方を示す。 ■「コミュニケーション不足」課題 ただ、マイナス金利政策の解除など、本格的な政策転換への歩みは簡単ではない。それには賃金も物価も安定的に上昇する必要があるが、米欧の大幅利上げの反動で海外景気の減速懸念が強まっており、企業も賃上げを慎重に判断せざるを得ないからだ。また、景気減速を受けて米欧が金融緩和に、日銀は金融引き締め方向と市場が意識するようになれば、運用に有利な円が買われて、急速に円高が進む恐れもある。 丸山氏は、金融環境の不透明感が増す状況について「12月上旬まで日銀による外部発信の機会がいくつかあったが、政策修正をにおわせるトーンはなかった」と指摘、日銀と市場とのコミュニケーション不足を課題に挙げた。

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