日銀は12日に4.6兆円と1日として過去最大の国債買入を行い、10年新発債のほとんどを買い入れる

2023年01月13日

 日銀は12日、国債買い入れオペ(公開市場操作)で4兆6144億円買い入れた。1日の買い入れ金額としては過去最大となった。2022年6月15日の3兆7170億円を1兆円近く上回った(12日付日本経済新聞)。

 日銀による12日の国債買入の詳細はこちらで確認できる。

「落札結果 (1月12日<木>)」日本銀行 https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba230112.htm

 12日は通常の国債買入に加え、国債買入(固定利回り方式)(残存期間5年超10年以下、カレント3銘柄が対象)、つまり無制限連続指し値オペにて、直近発行された10年国債の3銘柄対象に2兆5084億円も買い入れたことが大きな要因となる。

 直近発行された10年国債の3銘柄のうち367回と368回はすでに日銀によってその多くが買入られている。このため今回は1月5日に発行された369回(額面金額で2兆7000億円程度発行)主体であったとみられる。これによって369回債も流動玉はほとんどなくなりつつある。つまりこれは形式的には財政ファイナンスともいうべきものとなる。

 当然ながら、これによって369回債の流動性が低下し、債券市場の機能低下に繋がることにもなりかねない。

 その機能低下を防ぐためとして、昨年12月20日に日銀は長期金利の許容レンジを0.25%から0.50%に引き上げたわけであるが、これは何ら解決策にはならなかった。

 12日の朝方、読売新聞が昨年末の政策修正後も市場金利にゆがみがあるため、日本銀行は17、18日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策に伴う副作用を点検すると報じた。これは観測記事ではない。

 そして、副作用を点検した結果、市場金利のゆがみは解消されないどころか、さらなる機能低下に陥ったとなれば、日銀はいったいどうするのか。

 読売新聞の記事には「必要な場合は追加の政策修正を行う」ともあった。

 12日の債券市場ではこの報道を受けて、日銀の政策修正が意識されたことで、国債が売られた(利回りは上昇)。その結果、0.50%の指し値オペに応札が集中した。実質的には0.5%を超える利回りとなっていてもおかしくはないため、0.5%で売られるなら売っておいたほうが良いとの選択肢が働いたといえよう。

 実体経済や海外金利などと比較して日本国内の金利が実勢と乖離しており、それを無理を抑えようとするとこのような結果となる。

 結果だけからみれば、財政ファイナンスとも認識されかねないどころか、物価高にもかかわらず量的緩和を強化したような結果ともなってしまっている。

 こういった矛盾を引き起こさないためにも、日銀がやるべきことは金融政策の正常化であり、まずはYCCと呼ばれるイールドカーブコントロールの撤廃となろう。

記事に関する報告久保田博幸金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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