日銀・黒田総裁の退任に危機感…インフレによって不動産業界は「トリプルパンチ」に襲われる「ヤバすぎる」ワケ
ついに「超金融緩和の終焉」を迎えた
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2022年の12月20日、日銀の金融政策決定会合で長期金利の上限を0.25%程度から0.5%程度に引き上げる金融緩和の修正が決まりました。この突然の発表直後、ある上場不動産会社から「年内に所有不動産を全て売却します。全物件遠慮なく指値をして下さい」とのメールが届きました。 【マンガ】約20年前にマイクロソフト株を「100万円」買っていたら今いくら? 10年以上もの間金融緩和が続いたなかで、「超金融緩和の終焉」を、黒田日銀総裁が退任する前に自ら選択したことに、金融業界だけでなく不動産業界にも驚きと共に強い危機感が広がりました。 さて、2023年の不動産市況はどうなっていくでしょうか。私自身、それなりに長く生きてきましたが、これまで体験したことのないようなことが起こるのではないかと危惧しています。 過去においては1990年代の不動産バブルの崩壊、2008年のリーマンショックによる不動産ミニバブル崩壊を経験してきました。しかしながら「インフレ」なるものを経験したことがありません。正確に表現すれば、記憶にはあるものの実感がまったくないのです。 1970年代のオイルショックは記憶しています。一般家庭でトイレットペーパーの買い占めが起こりました。しかし、あまりにも幼かったために、インフレの実体験としての記憶がほとんどありません。よって、今回のインフレも本質的に書物で読んできた程度の実感しか未だ湧いてこないのも事実です。 しかしながら、ここにきて幾つかはっきりしてきたことがあります。今回の物価の上昇、つまりインフレは、すぐには収まりそうにないということです。 日本におけるインフレ率は欧米に比べてまだ低いようですが、エネルギー自給率が約13%、食料自給率が約37%と、欧米に比べ著しく低いこの国おいて、この程度のインフレで終わるとは到底思えません。よって、現在欧米で起きていることが今後国内でも起こり得ると想定した方が無理がないように感じます。 また、様々な原材料が値上げする中、今後も各生産者や卸業者、販売者が、その値上げ分を消費者価格に転嫁しないで頑張れるとも到底思えません。遅かれ早かれインフレは、さらに厳しいものになってくると想像します。