日銀総裁人事、失敗許されぬ岸田首相 黒田氏任期残り半年、候補は?
2022年10月07日
日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁の任期が、8日で残り半年となる。在任期間は歴代最長の10年近くとなり、交代が確実視されるなか、後任人事に注目が集まっている。 【画像】一目でわかる、次期総裁が直面する課題 黒田氏は、市場に大量のお金を供給する「異次元緩和」を続け、アベノミクスの中核を担ってきた。急激な円安や物価高など緩和の副作用が重くのしかかる中、日銀総裁人事は日本経済のゆくえに大きく影響する。岸田政権にとって、失敗の許されない判断となる。 政府、日銀周辺で候補として名前が挙がるのは、2人の日銀出身者だ。 一人は副総裁を務める雨宮正佳氏。1979年に入行し、金融政策を立案する中枢の企画部門を長く歩んだ。黒田氏の下で、大量の国債買いやマイナス金利政策といった、これまでに例のない金融緩和策の立案に携わった。 もう一人の候補と目されているのが、雨宮氏の前の副総裁だった現大和総研理事長の中曽宏氏だ。豊富な危機対応の経験から、「緩和の出口を担う総裁は、中曽の方が向いている」と推す日銀関係者もいる。 かつて日銀とたすき掛けで総裁を輩出してきた、財務省出身者も取りざたされる。アジア開発銀行総裁の浅川雅嗣氏で、黒田氏と同じ財務官経験者だ。長く財務相を務めた麻生太郎氏が、首相の時に秘書官を務めた経験がある。 政権にとって悩ましいのは、緩和の維持、修正、どちらも日本経済に正負の影響が見込まれることだ。緩和を続ければ、円安傾向は変わらない。一方、緩和を修正すれば、急に金利が跳ね上がり、経済の重しにもなりかねない。市場は、岸田文雄首相が総裁人事にどんなメッセージを込めるか、注視している。(津阪直樹)
朝日新聞社