春闘ベア率30年ぶり高水準へ、物価高と賃上げ機運で-ゴールドマン
2023年01月27日
(ブルームバーグ): ゴールドマン・サックス証券は、今年の春闘のベースアップ(ベア)率予想を上方修正した。消費者物価が大幅に上振れ、企業の賃上げ機運が高まる中、1993年以来、30年ぶりの高水準になるとみている。
同証券のエコノミストの田中百合子、馬場直彦、太田知宏3氏は26日付リポートで、ベア率見通しを1.2%と、昨年11月時点の予想から0.3ポイント引き上げた。これに伴い定期昇給を含む賃上げ率は2.8%(従来2.5%)となる見通し。
上方修正の理由について、消費者物価(CPI)インフレ率が同証券の「想定を大きく上振れ続けている」ことに加え、「企業の賃上げ姿勢も近年まれに見るほど高まっているように見受けられる」と説明した。
消費者物価が41年ぶり4%台、食料や電気・ガス代押し上げ-12月
同証券のモデルによれば、春闘でベア率1.2%が実現した場合、2023年度の所定内給与は2.1%増と22年度見込み(1.4%増)から大きく加速。総賃金の伸びは2.1%増と、22年度見込みから0.2ポイント上振れるとみる。
もっとも、総賃金も所定内給与も2%の物価安定目標の達成に必要な賃金上昇率と日本銀行が主張する3%には達しないため、日銀は「金融緩和を継続する」と予想。昨年12月にイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の運用を見直して以降、YCCの持続性に従来以上に懐疑的になっており、4月の新体制下で第2四半期に目標年限短期化を軸に追加調整を実施するとみている。
--取材協力:氏兼敬子.
(c)2023 Bloomberg L.P.
Hiroyuki Sekine