昭和期バブルとは異なる今の「不動産バブル」。2023年「円安」「価格」「金利」はズバリどうなる?
不動産価格の高騰、進む円安、上昇も懸念される住宅ローン金利......マイホームの買い時は一体いつになるのだろうか? 気になる2023年の不動産市況について、ホームインスペクション(住宅診断) 業界実績No.1の株式会社さくら事務所会長で不動産コンサルタントの長嶋修氏に取材した。 【画像】2023年の国内不動産予測
2022年も不動産価格は高騰し続けた
「東京五輪が終われば価格は下がる」 「コロナ禍で不動産価格は暴落する」 これまで不動産市況について様々な予測がされてきたが、蓋を開けてみれば2022年も不動産価格は高騰基調。新築マンション価格は、もはや一般的な給与所得者には手が届かない水準にまで達した。コロナ禍でも下がることのない不動産価格。その理由について、長嶋氏は次のように考察する。 「コロナ禍で、住まいを見直す人が増えた。加えて、ウッドショックやウクライナ情勢による資材高騰や住宅設備が入ってこない状況も、価格高騰に拍車をかけた」
円安がもたらす「市場の二極化」
10月には「1ドル=150円」という歴史的な円安を記録したが、これも不動産価格の高騰に影響しているのだろうか? 「円安によって日本の不動産の魅力は高まったが、それによって海外マネーが流入したのは局所的。円安になる前から、安く、安定している日本の不動産の魅力は大きかった。海外のファンド系マネーは、すでに2020年後半から日本の不動産市場に入ってきている。もちろん、円安によってそれが加速したことは十分考えられる」 日本でも不動産価格は高騰しているが、それでも他の先進国と比較すれば格安だ。加えて、コロナの影響が少なく、インフレ傾向も小さい日本の不動産の魅力は上がっている。とはいえ、外国人が日本の不動産を購入する理由は投資。 購入エリアは、東京はもちろん2025年の万博開催で注目されている大阪、外国人に人気の高い京都、あるいはリゾート地や地方都市の利便性の高いエリアなどに限定されることが予想される。 長嶋氏は、円安によって日本の不動産市場の"二極化"がさらに進むと懸念する。 「不動産価格が高騰しているとはいえ、全ての不動産が上がっているわけではない。新築マンションは、利便性が高いエリアに供給が集中しているからこそ高騰しているのであり、中古物件の高騰も局所的。地方の空き家の価格が上がったなんてことは聞かない。円安でさらに高級物件や都市部の物件の価格が上がることで、市場の二極化はさらに進むだろう」