景気後退を示唆したFOMC…為替介入の効果は限られる
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FRBは「2023年中盤~終盤の景気後退入り」を暗示
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[図表1]FRBの政策金利およびその見通し
9月19~25日週は、米連邦準備制度理事会(FRB)が0.75%の利上げを実施し、日銀は金融緩和を継続、日本の財務省が為替介入を行い、英国は大幅減税でトリプル安になりました。めまぐるしい1週間でした。 そのあいだに、ロシアのプーチン大統領は予備役の部分動員令に署名するとともに、「わが領土の一体性が脅威にさらされる場合は、われわれが保持するすべての手段を利用する。これははったりではない」と述べました。筆者は、引き締めよりも、こちらを気にすべきと感じます。 シンプルにいえば、米連邦公開市場委員会(FOMC)では、「政策金利は4%台半ばまで上昇し、来年は利下げしない」との見通しが示されました。[図表1]に示すとおり、これに対して、金融市場では来年には利下げが開始されると見込んでいます。 合わせて、失業率に関する見通しと(次に述べる)『Sahmルール』に従うと、来年の中盤から終盤には「米国は景気後退に入っている」ことが示唆されます。 FRBのエコノミストであったClaudia Sahm氏は、財政刺激策発動のルールとして、「(1)失業率の3ヵ月移動平均値が、(2)失業率の過去12ヵ月(当月を除く)の最低水準を、0.5%以上上回れば、財政出動を発動する」ことを提案しました。 なぜなら、[図表2]に示すとおり、この条件が満たされるときに、米国経済が「景気後退に入っている」ためです。 足元の数字でみると、(2)直近の失業率の最低水準は「3.5%」です。これに「0.5%ポイント」を足すと、(1)失業率の3ヵ月移動平均値が「4.0%」になれば条件が満たされます。 これに対して、FRBの見通しによれば、今年末時点の失業率が「3.8%」、2023年末時点の失業率が「4.4%」ですから、(1)3ヵ月移動平均値が「4.0%」になるのは、来年の中盤から終盤にかけてでしょう。 遅くとも2023年末時点では、『Sahmルール』が満たされ、米国は景気後退に入っている計算になります。