最後の為替介入は2011年11月、この際は円高阻止。円安阻止の介入の最後は1998年6月
9月14日の朝方、ドル円は145円に接近した。この日、鈴木財務相が為替介入の可能性を示唆、その後日銀のよるレートチェックが入った。これにより為替介入が現実味を帯びてきた。
前回、為替介入が行われたのが、2011年11月、11年前となる。2011年10月31日にドル円が75円32銭と対ドルで戦後最高値を更新した。これを受け、同日、政府・日銀で大規模なドル買い円売り介入を実施した。
前回行われたのは、公式に発表されているのは、2011年10月31日。しかし、2011年10月28日から11月28日までの外国為替平衡操作額(介入額)が9兆円を上回っていた。10月31日に大規模なドル買い円売り介入が実施されたが、市場ではこの時の介入額を過去最大の7~8兆円規模とする試算が出ていた。それを上回っていたことで、31日以降も介入実施の公表を伴わない「隠密介入」が続いていた可能性が指摘されていた。
この際には、どうして円高が進んでいたのか。これは欧州でギリシャの財政懸念を発端として信用不安が拡大していたためである。いわゆるリスク回避の動きに投機的な動きも加わって、急激な円高が進行した。また、日経新聞は次のような要因も指摘していた。
甚大な被害があった同年3月の東日本大震災をうけ、多額の保険金の支払いが予想される保険会社や復旧のための資金が必要な大企業が外貨建ての資産を売却して円資産を確保するのではという思惑が投資家に広がり、円買い・ドル売りを誘った(2019年10月30日付日本経済新聞)。
今回については急激な円高ではなく、円安に対処するための介入観測である。
前回、円買いドル売りの為替介入が実施されたのは1998年6月17日であった。金融システム不安から日本の景気が悪化するとともに、金融市場では不安感を強めた。そこに米国の強いドル政策が加わったことなどによる円安であった。
ドル円は6月11日に144円台、15日に146円台に上昇してきた。そして17日に日米協調介入が実施されて、ドル円は136円台にまで下落(円高ドル安)したのである。
久保田博幸金融アナリスト