某経済紙が予想「アメリカ不動産総崩れ」があまりに短絡的だといえる理由

2022年09月09日

住宅ローン金利の上昇、建設コストの増加などを理由に「アメリカ住宅市場が減速」という報道がされました。「もうアメリカ不動産は終わり......」そんな極端な論調もあるなか、米国不動産に詳しい浅井聡氏はあまりに短絡的な予想だと指摘します。みていきましょう。

アメリカの住宅市場に悲観的な報道が目立つが......

8月中旬以降、某経済紙が「米住宅市場が不況水準」「米住宅価格の上昇圧力が急低下」などなど、アメリカ不動産の不調ぶりを立て続けに報じました。同紙は以前から、アメリカ不動産市場はバブルに陥っているという論調を取ってきただけに、自説を裏付けるようなデータが出てきたことに勢いづいているのでしょうか。いずれの記事も、アメリカ不動産の未来に対してずいぶん悲観的です。一応は米金融機関の専門家の言葉を引用する形を取っていますが、「住宅投資が減少する」「住宅価格はいずれ下落に転じる」と断じています。 たしかに現在の米国不動産市場では、高水準のインフレが継続していることや、住宅ローン金利上昇によって売買件数が下落しています。超低金利の恩恵で絶好調だった2021年の揺り戻しの側面もあるのでしょう。 しかし、だからといってそれが住宅価格の下落に直結すると結論付けるのはあまりに短絡的です。なぜなら、住宅価格を上昇させるのは、「購入」に対する需要だけではないからです。

家賃収入増加...オーナーが物件を安く手放す理由がない

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【図表1】ニューヨーク州の家賃中央値(1ベッドルーム) 出所:Zumber

「購入」需要以外で住宅価格を上昇させる要因、それは「賃貸」需要です。アメリカでは物価が上昇すると、素直に家賃も上昇します。その賃料が上昇している局面では、購入需要が乏しかろうと、収益還元法を重んじる住宅価格査定から算出された住宅価格は上昇します。アメリカでは土地神話という言葉はありませんから、賃貸用の住宅価格は収益還元法、つまり投資利回りを拠り所として価格査定されるためです。 住宅オーナーとしては買い手が付かないからといって、収益がしっかり出ている物件を安値で手放す理由がありません。収益に見合う価格で買ってくれる買い手が出てくるまでは、自分で運用するだけの話です。購入需要の減少は流動性低下の理由にはなっても、価格下落の理由にはならないのです。 さてここで、現在のアメリカの賃貸需要について考えてみましょう。住宅価格の高騰により購入を諦めた人にも、やはり住む場所は必要です。そうした人々の選択肢は賃貸しかありません。加えて、前述の通りアメリカでは空前のインフレが続いています。これは明らかに、家賃上昇局面です。 事実、不動産調査会社のレポートや、Redfin等の賃貸メディアの統計を見ても、この数十年で最速ペースで家賃水準が上昇しています。具体的には、都市部では軒並み2桁以上の上昇し、ニューヨークのブルックリンに至っては昨年同月比で40%以上もの高騰を記録しています(図表1、図表2)。

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