核合意正常化へ米が回答 イラン「慎重に検討」 協議大詰め
2022年08月25日
イラン核合意の正常化に向けた米国とイランの間接協議で、イラン外務省は24日、仲介役の欧州連合(EU)が8月上旬に取りまとめた最終文書案に対する米国側の回答を受理し、「慎重な検討を始めた」と明らかにした。ロイター通信が伝えた。イラン側は既に回答を送付している。文書案と各国の回答内容は公表されていないが、協議は大詰めを迎えた模様だ。
ロシアのウクライナ侵攻で資源エネルギー価格が高騰する中、合意正常化によって、原油と天然ガスの主要産出国であるイランへの経済制裁が解除されると、価格引き下げ要因になるとみられる。ロイターによると、イラン側は精鋭軍事組織・革命防衛隊を米国の「外国テロ組織」指定から解除せよといった要求を示していたが、最終案への回答では取り下げたという。双方が妥協し、協議が妥結するか注目される。
核合意は2015年に米英仏独露中の6カ国とイランが締結した。イランが核兵器開発につながるウラン濃縮活動を制限する代わりに、欧米側が経済制裁を緩和する仕組み。18年にトランプ前米政権が一方的に離脱して制裁を再発動し、反発したイランは合意の制限を大幅に超えるウラン濃縮などを進めてきた。
バイデン米政権の発足後、米・イランの両国は21年4月に合意正常化へ向けた間接協議を開始した。一時は妥結の機運が高まったが、今年2月に核合意当事国であるロシアがウクライナに侵攻し、交渉は中断。6月にカタールで再開したが進展がないまま終了し、8月上旬にウィーンで再開した。【カイロ真野森作】