核融合は手の届くところにある、日本は大規模投資で技術開発を加速すべし

2022年08月13日

たゆまぬ技術開発により、核融合はいまや夢物語などではなく、手の届く技術になった。設計、材料、制御などの主要な課題はすでに解決の見通しが立っている。 【図】核融合炉で必要となる主な要素技術はこちら  いま日本政府は、温暖化対策のためとして、今後10年間で20兆円もの莫大な投資を計画している。民間も合わせれば150兆円に達するという。だがその中には、実現可能性やコストの観点から疑問のある技術も多い。  むしろ、核融合に重点的な投資をすることによって早期に実用化し、それを世界に売ることで、地球温暖化問題、エネルギー安全保障、エネルギーコストの問題を一気に解決することを目指してはどうか。  (杉山 大志:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹) ■ 発電コストは原子力・火力並みとの推計も  核融合の最近の進展は意外に知られていないかもしれない。  いま日・米・露・中・韓・印の6か国+1地域(EU)の国際協力で、核融合実験炉ITER(イーターと発音する)の建設がフランスで進んでいる。完成は2020年代後半で、2035年にはフルパワーとなる50万キロワットの熱出力を計画している。これは20万~25万キロワットの出力がある火力発電所と同じくらいの規模である。  つまり普通に見ている火力発電所並みの大きさの核融合炉がいよいよ誕生するわけだ。  ITERの建設コストは、2兆5000億円前後とされている。「こんなに高くて実用になるのか」という心配はごもっともである。  だがこれは、いくつもの方法を試し、性能を確認する「実験」をするためのコストだ。  実用段階になれば、発電コストは、10.2セント/kWhになると推計されている。これならば、既存の原子力発電・火力発電と比べて全く遜色がない。

■ 技術もコストも手が届くところにある  もちろんこれはいくつかの仮定をした上での数字である。だが肝心なのは、「核融合は高くつく」というのは、あくまで実験段階だけの話だ、ということだ。  そこさえ乗り切れば、実用段階では核融合炉は安くできる。  すでに述べたように、実験炉であるITERには2兆5000億円かかる。さらに、実用炉を設計する前に、もう1度、2兆円程度をかけて発電を実証するための原型炉を建設する必要がある。  だとしても、その後の実用段階になれば、安価で、CO2を出さず、無尽蔵な発電技術を人類は手にすることになる。  核融合炉は原理的に安全だ。ウランやプルトニウムを使わないので、核爆発や炉心溶融によるシビア・アクシデントは原理的に起きない。核分裂は起こすのは簡単だが止めるのが難しい。核融合はその逆で、起こすのは難しいが何かあるとすぐ止まってしまう。  長期にわたり強い放射性を持つ高いレベルの廃棄物量も少ない。  核融合は何としても日本の手でやり遂げたい。実現すれば、日本の新たな基幹産業になる。

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