焦点:中国経済工作会議、追加刺激策検討へ コロナで先行き不透明
[北京 13日 ロイター] - 中国の指導部は今月開く中央経済工作会議で、成長を下支えするとともに新型コロナウイルス抑制策の急転換で生じた混乱を和らげるため、追加の刺激策を打ち出す可能性が高いとみられている。
中央経済工作会議は来年の経済運営方針を決める重要会議。3日間にわたる非公開セッションで、習近平国家主席や高官らが成長目標やインフラ事業などへの財政支出拡大、追加金融緩和の可能性について話し合う見通しだ。
中国では足元、厳しい新型コロナ対策の緩和を受けて感染者が急増。ブルームバーグ・ニュースは13日、北京での感染拡大が原因で同会議の開始が延期されたと報じた。
中央経済工作会議の日程は公表されていないが、来年の経済政策を決定することから年末までに開く必要があり、今週中の開催が広く見込まれていた。
エコノミストや投資家は中国のコロナ感染拡大に関する信頼できる情報が得られず頭を悩ませているほか、景気見通しについても不透明感解消を求めている。今年は会議終了後の曖昧な政策発表や限られたメディアリークを手掛かりに、成長回復に向けた政府の計画を探ることになりそうだ。
国有の中国銀行の調査責任者は「内需、つまり消費と投資を押し上げるとともに、不動産部門を安定させる必要がある」と述べた。
今年1─9月の中国経済は3%成長にとどまり、通年でも同様の成長率になると予想されている。これは公式目標の「5.5%前後」を大きく下回る。
新型コロナ関連規制で頻繁にロックダウン(都市封鎖)が敷かれ、生産と個人消費が打撃を受けたことで成長が下押しされ、長引く不動産部門の問題や世界経済減速による輸出セクター低迷の影響が一層強まった。
経済への打撃拡大や各地で起きた抗議活動を受け、当局は先週、厳しいコロナ対策の主要な部分を撤回した。海外市場は長期的に経済に恩恵をもたらすと歓迎したが、短期的には感染急拡大を伴う。
<コロナ巡るジレンマ>
こうしたジレンマは、10月の共産党大会で選出され来年3月に正式に就任する経済担当高官ら新指導部も理解している。先週開いた党政治局会議では、積極的な財政政策と穏健な金融政策を継続する方針を示した。
関係筋やアナリストによると、中国人民銀行(中央銀行)は構造的な手段を通じ、問題を抱える部門への的を絞った支援を強化する可能性が高い。
中国政府の顧問は11月、中央経済工作会議で来年の成長率目標を4.5─5.5%に設定するよう提言する考えを示した。一方、人民銀の劉世錦・金融政策委員は同月、5%以上に設定すべきだと主張した。
それ以降、5%前後の成長を目指すべきとの意見が中央経済工作会議に向けて強まっている。
ある政府顧問は「5%を上回る水準に成長目標を設定すべき」とし、「財政政策を強化する必要がある。来年の財政赤字比率は3%以上に引き上げるべきだ」と語った。今年の財政赤字目標は対国内総生産(GDP)比2.8%前後に設定されている。
複数の政府顧問によると、来年の年間インフレ目標は3%前後で据え置かれる可能性が高い。
人民銀の易綱総裁は今月、中銀の緩和的政策が中国の経済回復を下支えすると強調し、来年の消費者物価上昇率は緩やかなレンジで推移する見込みだと述べた。
主要な経済目標は中央経済工作会議で承認される見通しだが、通常3月に開かれる全国人民代表大会(全人代、国会に相当)までは発表されない。
JPモルガンのアナリストは顧客向けノートで「(来年は)第20回党大会後の新しい経済チームの指導下での最初の年になる。中国のコロナ政策転換の過渡期となる年でもある」と指摘。成長目標だけでなく、金融・財政政策、特に家計への移転に向けたシフト、住宅・コロナ関連政策の指針についてさらなる手掛かりを得る上で中央経済工作会議が鍵になるとした。
(Kevin Yao記者)