物価高の『主犯』になりつつある円安、防衛ラインは145円?【播摩卓士の経済コラム】

2022年09月17日

日銀が9月13日に発表した8月の企業物価指数は、前年同月比で9.0%上昇となり、1980年以来の高い上昇率が続いています。中でも輸入物価は、円ベースでは前の年に比べて42.5%もの極めて大幅な上昇です。その一方、ドルなどの契約通貨ベースの輸入物価は21.7%の上昇でした。つまり輸入価格の上昇のうち、およそ半分が円安によるものということになります。 これまで物価高騰は、ウクライナ戦争などによる原油や穀物価格の上昇が主因で、円安がそれに拍車をかけるという構図でしたが、ここに来て原油価格や国際小麦価格は落ち着く一方、円安は一段と進んでおり、少なくとも卸売段階での輸入品値上がりの『主犯』は、円安になりつつあるのです。この動きは価格転嫁を通じて、これから消費者価格に押し寄せてくることになります。

■強まる円安圧力、米国発CPIショック

その円安は止まる気配がありません。 注目されたアメリカの8月の消費者物価指数は、前年同月比で8.3%の上昇でした。7月の8.5%より伸びは小さくなったものの、足元のガソリン価格の値下がりが大きかった割に、他の価格上昇が大きく、食料品とエネルギーを除くコア指数は前年比で6.3%、前月比でも0.6%と、いずれも伸びが加速しており、見れば見るほど悪い内容です。新車や衣料品の上昇が再加速した上、賃金上昇が幅広いサービス価格の上昇につながっている構図が見て取れます。 これを受けて、中央銀行のFRBが大幅利上げを続けるとの見方から、金融市場には再び「CPIショック」が走り、円は1ドル=144円台後半まで売り込まれました。焦点のアメリカの長期金利は再び3.4%台まで上がり、6月につけた3.5%を超えるかどうかが当面の焦点になるでしょう。 また、9月15日に発表された、8月の日本の貿易赤字は2兆8173億円と、単月として過去最大を記録しました。高止まりするエネルギー価格や円安がその原因ですが、貿易赤字が増大すれば、代金支払いに充てるドルを手当てする必要が増えるので、実需面からも、円安圧力は増すことになります。円安が貿易赤字を招き、それがまた円安を招く構図です。

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