米国の「利上げ」はまだまだ止まらない…! 異例の「インフレ対策」に金融市場が仰天したワケ

2022年09月10日

蜜月は終わった...

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 金融市場は、連邦準備制度理事会(以下FRB)との蜜月関係は終わったという現実をようやく受け入れ始めたようだ。 【写真】グーグルが上場したときに株を「100万円」買っていたら、今いくら?  今年に入り米国が40年ぶりの高インフレに見舞われ始めてから、FRBは金融市場に対して「インフレ抑制が最優先」と何回も蜜月関係の終わりが迫ってきていることを表明してきた。  しかし、2008年のリーマン・ショック以降長くFRBからの寵愛を受けてきた金融市場は、FRBの金融政策の焦点がインフレ対策に移っていくことを現実のものとして受け入れられず、まだ市場への気持ちが残っているはずだと思い続けていた。  鈍感な金融市場に業を煮やしたのか、パウエルFRB議長は8月26日にジャクソンホールで行った講演で「インフレを抑え込むには家計や企業に何らかの痛みをもたらすことになるがそれは避けられないコストだ。ただ、物価の安定を取り戻すことに失敗すればもっと大きな痛みを伴うことになる」と、多少の景気鈍化というコストを払ってでもインフレ抑制を優先する姿勢を鮮明にし、金融市場に対して明確な決別宣言を行った。  この発言によって金融市場に燻り続けていた「景気鈍化に配慮してインフレ率が鈍化すれば金融引締めを緩める」というFRBの心変わりへの期待は打ち砕かれることになった。  さらに、パウエルFRB議長は、もともと予定されていた30分間の講演を僅か8分で切り上げることで、蜜月関係から決別するという宣言以外に話すことはないことを強く印象付ける演出を見せた。  このパウエルFRB議長の講演を受けて、26日のNY株式市場はNYダウが1000ドルを超す大幅な下落を演じ、翌週にかけて下値を模索する軟調な展開となった。さらに3%前後で落ち着きを見せていた米国10年国債の利回りも3.25%まで上昇、それにつれて為替市場でもドル円相場が140円台と24年ぶりの円安水準を記録することになった。  以上のように株価が大幅下落したことについて、米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、「インフレ抑制に真剣に取り組む」というパウエル議長を含め金融当局者からのメッセージを投資家が正しく受け止めたことを示すと指摘した。  そのうえで「パウエル議長のジャクソンホール講演の受け止められ方を見てうれしく思う」と、株価下落を歓迎するという異例の発言で、FRBのメッセージが金融市場に届いたことに対する強い安堵感を示した。  このインフレは「一時的なもの」と考えて見通しを誤ったFRBは、今年に入ってからインフレ抑制が最優先課題であることを繰り返し表明してきた。そしてグリーンスパン元FRB議長のもとで1994年以降金融市場の常識となっていた「金融政策の変更幅は25bp(0.25%)」という慣例を破り、5月には50bp、6月と7月には75bpという大幅な利上げを実施しインフレ抑制に本気で取り組む姿勢を示してきた。  しかし、こうしたFRBの言動を目にしても、蜜月関係を継続したいという夢を断ち切れずにいた金融市場は、FRBの心変わりも「一時的なもの」で、早晩再び心変わりをして金融市場に対して配慮してくれるはずだという淡い期待を払拭しきれないでいた。

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