米小学校銃撃事件を「うそ」と否定の司会者に懲罰的賠償は約61億円 損賠5・5億円に加え

2022年08月06日

2012年に米コネチカット州のサンディーフック小学校で26人が殺害された銃撃事件について、事件はでまかせだと主張し続けた著名司会者に対して、テキサス州の地裁は5日、懲罰的損害賠償として4520万ドル(約61億円)を遺族に支払うよう命じた。地裁は前日には、410万ドル(約5億5000万円)の損害賠償を遺族に支払うよう命じていたため、賠償額は計4930万ドル(約66億5000万円)になった。 裁判の原告は、事件で死亡したジェシー・ルイスさん(当時6歳)の両親。サンディーフック小学校銃撃事件はでっちあげだと、自分の極右ラジオ番組とウエブサイト「インフォウォーズ」で主張し続けたアレックス・ジョーンズ被告による名誉棄損の被害を訴え、少なくとも1億5000万ドルの損害賠償を請求していた。 事件では、殺傷力の高いアサルトライフル(自動小銃)を乱射した男によって、子供20人と教職員ら大人6人が殺害された。 この事件がでっちあげで、遺族を名乗る人たちは俳優だなどと長年にわたりジョーンズ被告が番組やウエブサイトなどで吹聴し続けたせいで、自分たち遺族は周囲から嫌がらせを受けたり、精神的苦痛を覚えたりしたのだと、原告のスカーレット・ルイスさんとニール・ヘスリンさんは訴えていた。 ジョーンズ被告の番組とウエブサイトが拠点を置くテキサス州オースティンの裁判所で、陪審団は4日にまず損害賠償として410万ドルの支払いを命じた。これは、ジョーンズ被告に名誉を棄損された原告の具体的な損失に対する救済としてのもの。たとえば裁判に臨むにあたり、原告2人はジョーンズ被告の支持者から危害を加えられる可能性を警戒し、自費で警備を雇うなどしていた。 今回それとは別に陪審が命じた4520万ドルの懲罰的損害賠償は、ジョーンズ被告が同種の違法行為を繰り返さないよう、抑止効果を意図したもの。 アメリカの極右支持者の間で人気の被告は、サンディーフック事件は合衆国憲法が保障する武器の所有権を国民から取り上げるために仕組まれた、うそでやらせだと長年主張し続けていたが、今回の口頭弁論では、事件は「100%本当」だと認める発言をしていた。 ジョーンズ被告はすでに、自説を裏付ける証拠を法廷に提出しなかったことから、遺族に訴えられた複数の名誉棄損訴訟に敗訴している。しかし、陪審団が金銭的な損害賠償の支払いを命じたのは、今回が初めて。 遺族の弁護士は5日の法廷で陪審に対して、「きわめて単純なメッセージを発していただきたい。それが私たちの願いです。とても単純なメッセージを。つまりこうです。アレックス・ジョーンズを止めてください」と述べていた。「偽情報とうそによる金もうけをやめさせてください。お願いします」。 この日の口頭弁論では、原告側の証人として出廷したエコノミストのバーナード・ペティンギル氏が、ジョーンズ被告とそのメディアブランド「インフォウォーズ」、およびそのブランドを所有する親会社「フリースピーチ・システムズ」の資産総額は2億7000万ドル(約365億円)だと証言していた。 ペティンギル氏は、2021年の時点で複数の名誉棄損訴訟に直面していたジョーンズ被告が、自分の会社「フリースピーチ・システムズ」から6200万ドル(約83億7000万円)を引き出していたと証言。 「その額が純資産に相当すると、私は思います」とペティンギル氏は述べ、「どこかの銀行口座に資金を置いているはずです」と話した。 「フリースピーチ・システムズ」は7月末、今回の裁判が始まって間もなく、破産法の適用を申請していた。 裁判でジョーンズ被告は、自分はすでに破産しているため、賠償金の支払い能力はないと主張した。しかし、被告の関連会社はダイエット・サプリメントや銃器関連の部品、サバイバル用の道具などの販売を通じて、1日80万ドル(約1100万円)の売り上げがあると、証拠が提示されている。 ■2年分のメール情報が原告側に 3日の口頭弁論では、原告側のマーク・バンクストン弁護士が、証人席に座るジョーンズ被告に向かって、被告の弁護士が誤って、被告のスマートフォン内の全デジタルデータの複製を自分に共有したのだと伝えた。データの中身を自分が見てもいいのか、被告の弁護士に問い合わせたが、回答がなかったという。データの中には、被告の2年分のテキストメールのデータが含まれており、被告のこれまでの供述と食い違う内容もあったと、弁護士は本人に告げた。 被告は自分はサンディーフック小学校についてメールを送ったことはないと証言していたが、バンクストン弁護士は自分が入手したメールデータに被告のそうしたメールがあったと指摘。「偽証罪とは何か知っていますか」と被告に問いただしていた。 バンクストン弁護士によると、昨年1月6日の連邦議会襲撃事件を調べている下院特別委員会からすでに、ジョーンズ被告のメールを委員会に提供するよう要請があったという。 下院特別委は、議会襲撃の直前にホワイトハウス近くで開かれたドナルド・トランプ大統領(当時)の支援者集会をめぐり、ジョーンズ被告がその開催にどうかかわったか調べるため、被告を公聴会に喚問し証言を求めたものの、被告は委員会に対して100回以上、黙秘権を主張している。 ジョーンズ被告は口頭弁論で、サンディーフック小学校の事件はでたらめではないと認め、従来の主張を撤回したものの、引き続き自分のウエブサイトなどでこの裁判の裁判長や陪審員たちを攻撃し続けていた。被告は自分のサイトで、裁判は仕組まれた八百長だと主張したり、陪審員たちは「自分がどの惑星にいるのかも分からないような連中」だと中傷。さらに、裁判長が炎に包まれる様子を描いた画像などをサイトに掲載していた。 マヤ・グエラ・ギャンブル裁判長は口頭弁論で、聞かれた質問に直接答えずしゃべり続けるジョーンズ被告をたびたびたしなめ、「自分が広めたいメッセージをそこから広めようとしている」と指摘。さらに、「真実を語ると宣誓しているのに、すでにその宣誓を破っています」、「この法廷で陪審に、真実でないことを証言してはなりません」、「これはあなたの番組ではありません」と告げていた。 (英語記事 Alex Jones must pay $50m for Sandy Hook hoax claim)

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