米FRB、大幅利上げ継続へ 労働需給、なお逼迫 円安・ドル高止まらず
2022年10月09日
【ワシントン時事】7日公表された9月の米雇用統計では、同国の労働需要が旺盛な一方、人手は依然不足し、物価高の主因である労働市場の需給逼迫(ひっぱく)が解消には程遠いことが改めて示された。
インフレ封じ込めを最優先に掲げる連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げ継続を後押しする内容で、日米の金利差拡大を受けた円安・ドル高の流れは止まりそうにない。
雇用統計によると、9月の失業率は3.5%と、前月(3.7%)から改善し、新型コロナウイルス感染拡大前の水準を回復した。平均時給の上昇率も前年同月比5.0%と高水準で推移。賃金上昇は「コロナ感染拡大前は3%あまりだった」(米エコノミスト)だけに、FRBは「賃金圧力も高インフレに寄与している」(クリーブランド連邦準備銀行のメスター総裁)とみる。
市場では、FRBが過熱する労働市場を冷ますため、11月1、2日の次回連邦公開市場委員会(FOMC)で、4会合連続で通常の3倍となる0.75%の大幅利上げを決めるとの観測がさらに強まった。
一方、FRBの積極的な利上げに伴う急激なドル高は、日本を含め世界各国で輸入物価を押し上げ、インフレを加速させる恐れがある。また、米金利上昇とドル高で、途上国は資金流出とドル建て債務の膨張に直面している。世界銀行のマルパス総裁は7日のテレビインタビューで「途上国が債務の支払いで苦しくなっている状況を目の当たりにしている」と懸念を示した。
ただ、FRBはあくまで国内の物価安定の回復に注力する構え。むしろドル高は「輸入物価を下げ、米国のインフレを幾分低下させる効果がある」(ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁)と、好都合と捉える見方すらある。為替は「政策目標ではない」(同)という立場だ。