豪利上げ、債務負担の重い家計を揺らす-住宅価格に一段の下落余地

2022年08月24日

(ブルームバーグ): オーストラリアでの急ピッチの利上げは、債務負担の重い家計を揺らし、1991年のリセッション(景気後退)直前以来となるスケールで不動産市場を落ち込ませる恐れがある。

不動産市場への打撃は先駆けとしてシドニーで見られており、ここ3カ月で住宅価格は5%近く下落。9兆9000億豪ドル(約935兆円)規模の豪州市場全体では2%の落ち込みとなっている。オーストラリア準備銀行(中央銀行)は9月6日に次回政策決定会合を開くが、約30年ぶりの速いペースで利上げを推し進めており、一段の下落は不可避の情勢だ。

インフレ高進を受けた各国・地域中銀の金融引き締めにより住宅価格は世界中で軟化傾向にあるが、豪州では家計の所得に対する債務の比率が記録的高水準にあるため利上げに伴うリスクが高い。

S&Pグローバル・レーティングのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、ルイス・クイジス氏は、豪州は住宅ローンなど家計が抱える債務の国内総生産(GDP)に対する比率が極めて高いという意味で大きく影響を受けやすい市場だと指摘した。

豪中銀は5月の会合で0.25ポイントの利上げを行い、その後は3会合連続で0.5ポイント引き上げ、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を現在1.85%としている。

政策金利が計3ポイント引き上げられるとのシナリオでは、豪州の住宅価格は25%近い下落が想定されるとの指摘もある。豪センター・フォー・インディペンデント・スタディーズ(CIS)のチーフエコノミストで、豪中銀勤務の経験を持つピーター・チューリップ氏は「1ポイントの利上げごとに住宅価格は約8%下落という目の子勘定がある。従って3ポイントの利上げなら24%下落の計算になる」と語った。不動産サイトを運営するREAグループによれば、豪州全体では1990年以降、12カ月単位で10%の下落は起きていない。

現在、豪州では不動産価格が低下傾向にあるものの、依然として新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準を十分上回っており、値ごろ感には圧力がかかった状況が続き、さらに大幅な下落余地を示唆している。

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