適任は誰だ 安倍氏追悼演説を先送り 甘利氏起用に与野党から異論噴出 盟友・麻生氏や菅氏、立民・野田氏か
2022年07月29日
自民党は8月3日召集の臨時国会で予定していた安倍晋三元首相の追悼演説を先送りする方針を固めた。甘利明前幹事長が登壇する方向で調整していたが、与野党から「首相経験者が適任」「野党が受け持つべきだ」などと異論が噴出した。甘利氏の〝失言〟も影響した。追悼演説は秋の臨時国会以降となり、人選も再検討されそうだ。
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「遺族の意向」
自民党は当初、追悼演説を8月5日に実施し、「安倍氏の遺族の意向を踏まえて」(党幹部)、甘利氏を起用する方針だった。甘利氏は、安倍政権で「アベノミクス」を進め、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉に携わった、安倍氏の〝盟友〟である。
これに対し、野党は「他党の議員が行う慣例から極めて逸脱する。自民党のための演説なのか」(立憲民主党の西村智奈美幹事長)などと批判を強めている。
甘利氏自身の言動も、安倍派の怒りを買った。20日に更新したメールマガジンで、甘利氏は「(安倍派には)誰一人、現状では全体を仕切るだけの力もカリスマ性もない」と指摘したのだ。
安倍派最高顧問の衛藤征士郎氏は「こんなに侮辱されたことはない」と激怒しているという。
では誰が適任なのか。
首相経験者では、安倍政権を支え、盟友といえる麻生太郎氏や菅義偉氏を推す声がある。野党第一党の立憲民主党は、安倍氏を激しく批判していただけに、「遺族の意向に沿う人材が限られる」(ベテラン議員)。野田佳彦氏などに限られそうだ。
非業の死を遂げ、国内外から弔意と称賛が寄せられている安倍氏をめぐり、これ以上の混迷は避けなければならない。