都心マンション「局地バブル」崩壊現象は長期化へ 今や完全な供給過多、来春の日銀総裁交代で見えてきた今後

2022年12月27日

【マンション業界の秘密】 少し早いが、来年の後半以降のマンション市場を考えたい。 2013年以来、東京都心などを中心としたマンションをはじめとした不動産の局地的な値上がりは、来春の日銀総裁の交代で終わることがほぼ見えてきた。 私が経験した過去2回のバブルと比べると、今回はダラダラと10年も続く、おかしなバブルである。都心の港区や千代田区のマンション価格は2倍になった程度だ。 1985年のプラザ合意に始まった、あの平成大バブルは「2倍3倍当たり前」という状況だった。ただし、価格が上昇した期間はせいぜい6年程度。 2000年代の資源マネー流入によるファンドバブルも、長く見積もって5年程度。その間、都心のマンション価格は5割も上がっていない。 今回は13年4月に日本銀行総裁に就任した黒田東彦氏による異次元金融緩和がもたらしたもので、地域限定で10年も続いている。これも間もなく終わる。 前の2回のバブルに比べると、その生成状況が弱く、マンション価格は着実に上昇しているのだが、地域は限られている上に上昇幅はそれほど大きくない。 お隣の韓国では、文在寅(ムン・ジェイン)政権の失策もあったが、首都ソウルのマンション価格は5年で2倍になったという。それで思わぬ譲渡益を得た人は今、ハワイでバブル明けの饗宴を楽しんでいるらしい。 それに比べると、限られた地域でせいぜい2倍しか上がらなかった東京近辺の「局地バブル」はいかにも弱々しい。 理由は、やはり需給ではないかと考える。東京をはじめとした日本の住宅事情は、今や完全な供給過多である。ぜいたくを言わなければ、住むところはいくらでもある。ちょっと郊外や地方に行けば、タダ同然の住宅が空き家で放置されている。 そういう状況の中で、いくら金融緩和による「カネ余り」になっても、マンション価格の上昇には限界があったのではないか。だから、東京の不動産価格はニューヨークやロンドン、北京や上海、シンガポールに比べて「安い」と評価されたわけだ。 あわて者の評論家諸氏は、単純にその状況を捉えて「東京は世界に比べて安いから、まだまだ値上がりする」という言説を垂れ流していた。早とちりだろう。 ただ、そんな局地的な日本の不動産バブルも来年の春以降は状況が変わる。金利が上がれば、値上がりの勢いはそがれる。そのうち、値下がりも始まるだろう。 平成大バブルの崩壊はその後、10年弱の値下がり期を招いた。ただ、その後には団塊ジュニアの住宅需要もあって、持ち直した。今回はそれもない。だから持ち直しまでには相当、期間を要するとみている。 さかき・あつし 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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