黒田総裁の“余計なひと言”で「伝家の宝刀」を切ってしまった政府・日銀の崖っぷち…「円買い介入」でも“歴史的な円安”が止まらない理由

2022年09月27日

巨大な市場をコントロールできない

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 「当面というのは数カ月ではなく、2~3年の話と考えてもらっていい」--。大規模な金融緩和策の維持を決めた金融政策決定会合直後の記者会見で「当面、金利を引き上げるようなことはない」と強調した直後、日銀の黒田総裁が付け加えたひと言は日銀総裁の発言の重要性を語るエピソードとして末永く語られることになるのだろうか。 【写真】再逮捕された「美人すぎる寝屋川市議」の写真集全カットを公開する  あの直後、歴史的な水準にあった円安が一段と勢い付き、政府はついに24年ぶりの円買い介入に踏み切らざるをえなかった。日本時間の翌23日未明、国連総会で演説するため、米国訪問中の岸田総理はニューヨーク証券取引所での会見後の質疑で、この介入に触れて、「投機による過度な変動が繰り返されることは決して見過ごすことはできない」と指摘。「過度な変動には断固として必要な対応をとる」と強調した。  日銀が緩和策を維持することを前提に、経済運営に政府・日銀が結束して取り組む姿勢を強調したのである。政府・日銀の一枚岩は維持されているように見える。  しかし、専門家の間では、主要国の中で唯一マイナス金利を保ち、内外の金利格差の拡大が続く中で、こうした介入が円高に向かうきっかけになるとの見方は皆無に近い。むしろ、介入を繰り返せばその効果が薄れるとか、原資となる外貨準備には限りがあり巨大な市場をコントロールすることは難しいとの見方が溢れている。  「伝家の宝刀」を使ってしまった以上、円が歴史的な安値水準への道を辿るリスクは限りなく大きくなっている。

次の総裁の手足を縛る発言

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 現在2期目の任期中にある黒田総裁は77歳と高齢だ。来年4月8日に今の任期が切れた後、続投できるとの見方はほとんどなく、市場では日銀OBを軸に展開するとみられる次の総裁選びの行方に関心が移っている。  そうした中で、金利の引き上げについて、2、3年はないと考えてもらった方が良いという黒田総裁の22日午後の発言は、次の総裁の手足を縛る発言だ。  市場はこの言葉に敏感に反応して、外為市場では一時1ドル=145円台後半という24年ぶりの円安水準を更新。政府・日銀はこの日夕方、1998年6月以来、24年ぶりとなる円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った。夜になって、財務省で記者会見を開いた鈴木財務大臣は、為替が原則として市場で決まるものだと前置きしつつ、「投機による過度な変動が繰り返されることは決して見過ごすことができない」と述べ、介入を正当化した。  エコノミストの間ではこのところ、円の安値の目途について「1998年の1ドル=147円66銭」と「1990年の1ドル=160円20銭」の2つが有力になっている。「1ドル=147円66銭」を割り込めば、次は「1ドル=160円20銭」が視界に入ってくるため、22日に1ドル=146円に迫ったところでなんとか押し戻しておきたいというのが、政府・日銀のハラだったのだろう。そのため、介入に踏み切ったものと推察される。  だが、為替介入に市場の流れを変えるほどの力はなく、ほとんどが一時的なけん制で終わるというのが過去の教訓から得た経済の常識のひとつだ。特に、ドル売り・円買い介入は、日本にとって原資となる外貨準備に限りがあり、巨大な市場をコントロールすることが難しいという問題がある。

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