FRBの悪夢、金融政策と矛盾する米国債市場介入-流動性デプス低下
(ブルームバーグ): グローバル金融における直近のボラティリティーの高まりは、国際指標である米国債の流動性の問題を規制・監督当局が解決できていないことへの不安をあらためて浮き彫りにした。
市場価格に影響を与えず米国債の大口売買を行うことは、ますます難しくなっている。JPモルガン・チェースによれば、先週9月29日の流動性の「デプス(市場の厚み)」は、新型コロナウイルス危機の発生を受け、米連邦準備制度が国債などを大量購入する量的緩和(QE)の再開を余儀なくされた2020年春以降で最も低くなった。
世界的なリセッション(景気後退)リスクの増大や地政学的緊張の高まり、英国のような先進国での騒ぎは言うに及ばず、新興諸国のさらなるデフォルト(債務不履行)の可能性に直面する投資家は、かつてのように安全な逃避先として米国債に信頼を置くことができないかもしれない。
エバコアISIの中央銀行戦略責任者クリシュナ・グーハ氏は「かなりの厄介な米国債市場の流動性悪化が見られる。(規制・監督当局は)実質的な改革をまだ何も実行していない。われわれが今目にしている状況は、その仕事が本当に重要だと思い起こさせる」と指摘した。
TDセキュリティーズのグローバル金利戦略責任者で、代替参照金利委員会(ARRC)のメンバーでもあるプリヤ・ミスラ氏は「連邦準備制度にとって今や最大の悪夢は、市場に介入し米国債を買い入れざるを得なくなることだ。金融政策と矛盾するにもかかわらず、介入しなければならなくなれば、苦しい立場に追い込まれる。その理由から規制・監督当局が市場の構造を是正する必要があると考える」と主張した。
原題:Treasuries Liquidity Problem Exposes Fed to 'Biggest Nightmare'(抜粋)
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