FRB利上げ幅縮小で新たな局面 インフレ抑制と経済安定両立なるか
【ワシントン=坂本一之】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は14日、記録的なインフレを抑えるため継続してきた利上げの幅を前回の0・75%から0・5%に引き下げた。FRBは今後、過度な利上げで深刻な景気悪化を招かないよう、物価抑制と経済安定の両立を目指す難しいかじ取りを求められることになる。
FRBのパウエル議長は14日の記者会見で「強力な措置を講じてきたが、完全な効果はまだ現れていない」と述べ、物価上昇率の抑制に向け利上げを継続する意思を示した。
FRBは通常の3倍となる0・75%の利上げを6月から4会合連続で実施する異例の措置でインフレ退治に奔走してきたが、政策金利が上がるにつれ景気後退への懸念も高まる。
今後は金利をどこまで引き上げ、いつ利下げに踏み切るかが米国の景気を大きく左右することになる。
インフレ対応を巡っては、強い措置による失業者増など米経済への悪影響を警戒して利上げに慎重な考え方と、物価上昇による悪影響を問題視して一定の痛みを伴っても利上げを重視する考え方に分かれる。
パウエル氏は「物価の安定がなければ経済は誰にも機能しない」と語るなど、物価上昇の抑制を重視するが、深刻な景気悪化を引き起こすことは許されない。物価抑制と経済安定の両立を図る難しい判断が来年は続くことになる。
一方、バイデン大統領は13日の演説で、物価高問題に関して「まだやるべきことが多い」と述べ、今後も物価対策を重視する姿勢を強調した。バイデン政権はこれまで家庭負担の軽減や工場誘致による雇用創出などを図ってきたが、効果が出るには一定の時間が必要とされる。
また、11月の中間選挙でバイデン氏の民主党が下院で敗れ、共和党が来年1月に始まる議会で同院の多数派を握ることから、新たなな経済対策を思うように実施することが難しくなる。バイデン政権とFRBは2023年、米経済の成長を維持できるかその手腕が問われる。