JPモルガンAMなど警戒姿勢崩さず-米インフレ緩和期待でも
(ブルームバーグ): 米インフレ率の40年ぶり高水準からの鈍化を示唆する最新データを受けて、ウォール街には高揚感が広がっている。しかし、大手のマネーマネジャーは、世界的な物価高への対応を今後何年も迫られるとみて歓迎ムードにはない。あらゆる種類の投資戦略を根底から変えることになる。
JPモルガン・アセット・マネジメント(AM)は複数の戦略の少なくとも一つで、現金の配分比率を過去最高に維持。UBSグループのヘッジファンド・ソリューションチームは守りの姿勢を保っている。マン・グループのクオンツは、あらゆる兆候が物価圧力の高止まりを示しているとして、グレートインフレ・トレードが続くと見込む。
10月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが予想を下回ったことで、シティグループなどは米金融当局がタカ派姿勢を和らげると予想し、クロスアセットで大きな相場上昇の流れとなったが、JPモルガンAMなどは慎重なスタンスを崩していない。
JPモルガンAMの債券ポートフォリオマネジャー、ケルシー・ベロ氏は「米金融当局が深刻な経済的打撃を招かずにインフレ率を目標に鈍化させるソフトランディング(軟着陸)への道は引き続き狭い」と指摘。「インフレは下降の方向にあるだろうが、減速ペースや最終的に頭打ちとなる水準は依然、極めて不透明だ」と話した。
JPモルガンAMは物価圧力の高止まりを予想し、高格付けの短期債への投資を維持。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後のインフレ鈍化見通しが唱えられる中にあって、同社の最高投資責任者(CIO)はかねて頑強な高インフレを警告してきた。
世界最大の上場ヘッジファンド運用会社、マン・グループのクオンツ投資プログラム「マンAHL」では、絶え間ないインフレ主導の価格トレンドに乗って大きな成果を上げてきたトレンド追随戦略のアウトパフォームが続くと見込む。同社はインフレ持続に伴って、価格差を利用したさまざまなキャリートレードが今後も魅力的としている。