1ドル130円台前半の米ドル/円…「米ドル安・円高の再燃」はあるか【国際金融アナリストが解説】
先週の米ドル/円は一時130円を割り込んだものの、その後135円付近まで戻すなど方向感のない動きをみせました。こうしたなか、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は、今週のレンジを「1ドル130円~135円」と予想したうえで、このレンジを上下どちらかに抜けた場合はトレンドが発生する可能性があると指摘します。吉田氏の予想レンジの根拠と、足元の米ドル/円の動きの背景について、みていきましょう。
「1月10日~1月16日のFX投資戦略」のポイント
〈ポイント〉 ・2023年の取引スタートとなった先週の米ドル/円は上下に荒っぽい展開となった。こういったなかで、2022年12月FOMC議事録公表により、インフレに対する姿勢におけるFOMCと金融市場の「大いなる認識ギャップ」が再確認された。 ・米ドル/円の当面の行方は、130~135円をどちらに抜けるかに注目。
一時1ドル130円割れも...米ドルが買い戻された背景
2023年の取引スタートとなった先週は、早々に130円割れとなったものの、その後は米ドル買い戻しが広がり、6日には135円手前まで米ドル高・円安に戻すところとなりました。 ただ、その後発表された2022年12月ISM(米供給管理協会)非製造業景気指数が予想以上に悪化(予想:55.1、結果:49.6)したことをきっかけに、米金利が大幅に低下し、米ドルも一時は132円を割れるまで急落しました(図表1参照)。 このように、2023年は取引スタートから上下に荒っぽい展開となりました。そのなかでも、まずは米ドルが135円近くまで大きく買い戻された背景から確認してみましょう。 米ドル買い戻しが拡大した主な要因は2つではないかと考えています。ひとつは金利差からのかい離、そしてもうひとつはユーロ/米ドルの動きです。 上述のように、年末年始で米ドルは一時130円を割れるまで続落となりました。ただこの動きは、日米金利差から大きくかい離したものでした(図表2参照)。 金利差からかい離した米ドル売りは続かず、後でも述べますが2022年12月FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録でタカ派姿勢が変わらないことが確認されたことなどをきっかけに、一転して米ドルが買い戻されるところとなったということではないでしょうか。