10月の米消費者物価指数は伸びが鈍化、米長期金利にピークアウト感?
米労働省が10日に発表した10月の消費者物価指数は前年比伸び率が7.7%となり、9月の8.2%から減速し、市場予想の8%程度も下回った。
今年6月には9.1%と1981年11月以来の大きさを記録していたがそこから鈍化傾向にある。
エネルギー・食品を除くコア指数は前年同月比6.3%上昇と、こちらも伸びが9月の6.6%から減速し、予想の6.5%程度を下回った。
FRBが12月のFOMCで利上げ幅をこれまでの0.75%から0.5%に縮小するとの観測が強まったが、市場の反応は想定以上のものとなった。
10日の米10年債利回りはは3.81%と前日の4.09%から急低下した。これもあってドル円も一時、140円台前半とCPI前より6円近く下落した。
FRBの利上げ鈍化期待がいったん出ていたが、FRBによる大幅な利上げ継続姿勢に変化がなく、あらためて米債売り、ドル買いポジションが入り、そのポジションが想定以上に積み上がっていたようである。そのため大きなポジション調整が入ったものとみられる。
ただし、これでトレンドまで変化したのかは、もう少し見極める必要はあると思う。チャートからみた米10年債利回りやドイツの10年債利回りなど、ピークアウトした可能性も否定はできない。原油先物もWTIで100ドルを大きく割り込んだ状態も続いている。
ただし、このまま以前の物価水準まで低下することも考えにくく、物価は高止まりが続く可能性が高いのではなかろうか。
久保田博幸金融アナリスト
フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。