2023年、「確率50%」の5大予測-米景気崖落ち、EU分裂、ウクライナ敗戦、バイデン不出馬、習近平暴発で台湾有事
有地浩の「思い切った」予測
写真提供: 現代ビジネス
私が執行パートナーを務める人間経済科学研究所代表パートナー有地浩(プロフィール)は「確率50%」と謙遜するが、下記の5大予想は興味深い(念のため、有地浩の個人的見解であり研究所の公式のものではない)。 【写真】バイデン・ゼレンスキーはもう手詰まりか~交戦中の訪米首脳会談の意味は 1. FRBは金融を引き締めすぎて景気崖落ち 2. ユーロ崩壊、EU分裂 3. ウクライナ降伏、停戦交渉開始 4. バイデン大統領2024年の大統領選に不出馬を宣言 5. 中国経済崩壊、習近平暴発、台湾有事 私も細部では見解が異なるが、概ね一致した意見だ。以下、ひとつずつ検証していきたい。
スタグフレーション
パウエルFRB議長 by Gettyimages
まず、1の「FRBは金融を引き締めすぎて景気崖落ち」については十分あり得る。ただ、金融引き締めに少々手心を加えても米国の景気は浮上せず、インフレを加速するだけであろう。 むしろ、インフレ抑止のために金利はセオリー通りインフレ率を上回る水準まで引き上げるべきだが、「政治的」にそれは難しいと考える。金利引き上げは財政赤字の利払いを増やしたり、住宅ローンや企業の借り入れなどに影響を与えたりするからだ。 結局、中途半端な金融引き締めは、「前門の虎=景気後退(金融危機)、後門の狼=インフレ」によって、スタグフレーションを引き起こすと考えている。 つまり、「超金融緩和」などと言う馬鹿げたことでもしない限り、景気の悪化とインフレの到来と言う「二重苦」は避けられないであろう。 むしろ、インフレ率を上回る金利水準に誘導して「景気を崖落ち」させるのが、インフレ対策として有効だが、パウエルFRB議長がそれを実行できるとは思えない。 つまり、昨年6月14日公開「迫る『複合危機』――生き残るための教訓を『客家の教え』に学ぶ」の副題「前門の虎と後門の狼、両方に対応しろ」ということだ。 インフレやスタグフレーションについては、2021年10月28日公開「インフレ&中国発不況-スーパー・スタグフレーションが襲ってくる!」、同10月30日公開「4半世紀デフレの後の『反動インフレ』は起きてしまったら制御不能か」等を参照いただきたい。