2023年に襲ってくる経済悪化と株価暴落…日米欧の同時株安は前兆なのか?
この株価下落は、2023年相場の予兆なのか。2022年も残り2週間。日米欧の株式市場が一斉に急落してしまった。
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15日のニューヨーク株式市場は"利上げの長期化懸念"と"経済指標の低迷"が重なって、大幅続落した。NYダウは前日比764.13ドル安の3万3202.22ドルで取引を終えた。ほぼ全面安となり、下げ幅は一時950ドルを超えている。
ニューヨーク市場の下落を受けて16日の東京市場も急落。終値は前日終値比524円58銭安の2万7527円12銭だった。東京市場もほぼ全面安の展開となり、約1カ月ぶりの安値をつけた。
欧州市場も、欧州中央銀行(ECB)が利上げを継続する方針を示したことで下落した。
市場は、世界経済が冷え込むことを警戒しはじめている。東京市場も、景気敏感株とされる半導体銘柄などが売られた。この先、株価はどうなるのか。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「ニューヨーク市場は、次のステップに突入した可能性があります。これまでマーケットのテーマは金融の引き締めでした。そのため、悪い経済指標が発表されると、金融引き締めが弱まるとの期待から逆に株価が上がった。ところが、15日のニューヨーク市場は、悪い経済指標にストレートに反応して下落しています。マーケットは、企業業績の悪化、経済の悪化そのものを懸念しはじめているのでしょう。実際、2023年のアメリカ経済は一気に悪化する恐れがあります。1年つづけた金融引き締めの"効果"が、そろそろ表れるからです。すでに不動産や自動車は、陰りが見えはじめている。当然、株価も冴えないでしょう。今年の最安値2万8000ドルを下回る可能性があります」
アメリカ経済の低迷が、日本を直撃するのは間違いない。
「東京市場の問題は、成長期待の持てる、投資したくなるような企業が、ほとんど見当たらないことです。アベノミクスがつづいたこの10年間、大企業は"低金利"と"円安"というぬるま湯に漬かり、国際競争力を失ってしまった。買われるとしたら、過去の業績に比べて株価が割安になっている銘柄くらいでしょう。唯一の救いは、日銀の黒田総裁が春に退任することです。10年間つづいた金融機関の痛みは和らぐでしょう」(斎藤満氏)
株価下落は、来年、本格化しておかしくない。