KDDIとみずほ銀行、2つの障害に3つの類似点 根幹にある問題とは
一律200円の補償対応で一応の矛を収めた携帯電話キャリアKDDI(au)の大規模通信障害ですが、稀にみる大きな社会問題としてあらめて検証する必要があると感じています。 【画像】通信障害の影響範囲と「200円返金」の詳細、みずほ銀行の勘定系システムの構成(全14枚) 本件は通話、データ通信利用はもとより、同社の通信網を利用する運輸インフラを始め、銀行や医療機関にまで及んだ大障害ですが、個人的には障害の影響そのもの以上に、KDDIの対応のまずさには企業マネジメント上で大きな問題を孕んでいます。 何よりもまずその端緒は、障害発生後の初動にみてとれます。障害発生からの流れをあらめて時系列で振り返り、KDDIの対応を検証していきましょう。
障害発生の第一報は1時間40分後 Twitter投稿は16時間後
障害発生は7月2日午前1時35分。しかしKDDIが自社サイトに第一報を掲載したのは、発生から1時間41分後の同日午前3時16分でした。夜中であったとしてもこれは遅い。 近年はTwitterなどSNS経由で騒動が広がる傾向がありますが、KDDI広報(@kddipr)の公式アカウントへの投稿はさらに遅く、同日午後5時28分と、発生から16時間後のことでした。多方面に影響の大きい通信インフラ障害であれば最低でも発生から30分以内には、障害発生の第一報を流すべきでしょう。
ユーザーへの情報発信に課題 総務相も苦言
同社はその後、携帯利用が急増する午前8時以降はほぼ1時間に1回の頻度でメッセージを自社の公式Webサイト更新し始めたものの、利用者にとって最も知りたい普及見通しなどについての言及は全くなく、これを見かねた首相官邸が物言いをつけたと言います。 翌3日に会見した金子恭之総務相から「会見も周知もお客さま目線であるべきだと、官邸のほうから指示があった」との発言があり、KDDIの初動のまずさは如何ともしがたいと岸田首相自ら異例の苦言を呈したということが分かっています。
「努力目標」に過ぎなかった復旧見込み時間
この苦言を受けてのことだったのでしょう、同社は3日午前1時の掲載情報から「全国的にデータ通信を中心として徐々に回復してきています。西日本は7:15、東日本は9:30を目標として復旧活動に取り組んでいます」などと復旧見込みを公表しました。 ところがこの後、同日午前11時に会見した高橋社長の発言で分かるのですが、この段階ではまだ原因が究明されたとは言える状況になく、西日本・東日本とも示された目標時間に何ら根拠はなく、政府に尻を叩かれ苦し紛れに表明した達成見込みのない「努力目標」に過ぎなかったのです。